質の高い、心温まる医療を提供します。専門病院としての職責を果たし、地域の方に信頼される医療機関を目指します。
当院は岐阜県各務原市に立地する精神科・心療内科・内科の病院です。
アルコール依存症をはじめとした依存症に対する専門的診療とともに、うつ病、総合失調症、認知症、不安障害など幅広い精神疾患の治療に取り組んでおり、また、地域の精神保健相談にも従事しております。
当院は「共に感じ、共に生きる」を理念として、常に病に苦しむ人の傍らに寄り添い一緒になって悩み、考えながら、病に立ち向かい、今後も皆さんに信頼され、必要とされる病院として発展してまいりたいと思います。
ごあいさつ
新たな出発にあたって -各務原病院、これまでとこれから-
当院は1980年4月に自分の理想とする精神科医療、とりわけ、他県に比べて立ち遅れていたアルコール依存症治療に関して、全国水準の医療を受けられる施設を岐阜に作りたいという願いを抱いて、当地に67床の小さな病院を開業したのが始まりです。
徒手空拳の状態で始まり、何もわからないまま、無我夢中でやっているうちに、いつしか30余年の月日が経過しましたが、その間、常に患者さんの傍らで同じ目線で共に考え、寄り添っていくという理念を大切にして日々の診療を続けてまいりました。
その結果、依存症治療で中心的役割を果たす自助グループに関しては近隣で有数の規模となり当院から多くの方が回復し、社会生活に戻っていかれました。
また、依存症治療薬の治験や20年にわたる地域における継続的アルコール教育などの社会活動の実践にも取り組み、2013年には当院主幹で第35回日本アルコール関連問題学会の開催を迎えるに至り、まだまだ完全とは言えないものの、前述の開院当初の目標はある程度は達成できたのではないかと考えております。
また、うつ病、総合失調症、認知症など、他の精神疾患に関しても各務原市で唯一の有床精神科医療機関として、近隣の総合病院、クリニックと連携して、多くの症例の治療にあたっており、また、精神科臨床研修施設として研修・教育も行っております。このたび、2012年3月をもって、老朽化した旧病棟を新築し、新病棟での診療を開始することになりましたが、新しくなった病棟を見ていると、私自身、開業当初の志に立ち返り、再び新たな挑戦を始めようという気持ちがふつふつと沸いてきて、あらためて身の引き締まる思いです。
これからも、当院の基本理念である「共に感じ、共に生きる」を胸に、より一層、質の高い、患者さんの助けになる医療を提供できるよう、職員一同、全力をもって邁進したいと思います。
最後に、我々と皆さんの出会いで、一人でも多くの人が生きる喜びを取り戻し、笑顔で過ごせる明日が来ることを願って挨拶の末尾とさせていただきたいと思います。
「こころの病」の多様性と向きあって ―「こころ」と「からだ」、そして社会とつながる―
私たちが常日頃、向きあっている「こころの病」は身体疾患に比べ、多様な背景を持ち、一口で言い表せるものではありません。例えば、「うつ病」にしても、人間関係のもつれを原因とする心理的側面の強いものから、特に誘因なく起こり、躁状態を併発するような、より体質的因子の強いもの、あるいは老年期に入り認知症の部分症状として起こるものまで、様々ですし、更に当人の置かれている環境も千差万別であるため、全てに同じ対応というわけにはいかず、ものによってはどこまでが病気と言えるのか難しい場合すらあります。
こうした、多彩な「こころの病」に対して、我々は、「こころ」だけでなく、「からだ」や「環境」の視点も踏まえて治療に取り組んでいます。「心身一如」という言葉がありますが、日々の診療を通して、「こころ」と「からだ」、そして「環境」は我々が思っている以上に密接に相関しているものと痛感させられます。実際、緊張した時にお腹がゆるくなったり、嫌な用事の前に体調不良に悩まされたりした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
具体的には、「からだ」に関しては、最新の薬理学的知見をもとに、より有効で安全性の高い薬物療法を目指し、合併身体疾患の改善に努めるとともに、修正型電気痙攣療法(mECT)、反復性磁気刺激療法(rTMS)など直接、脳に働きかける新しい治療法にも積極的に取り組んでいますし、「環境」については関係職種と協力して社会保障、福祉利用の橋渡しを行い、生活の安定を図ったり、会社・学校・各種施設等と連携して気持ちの安定化が得られるよう環境調整を支援したりしています。こうした活動は特に地域性や、その地方の実情に関して十分な理解が必要になりますが、開業以来、長きにわたり当地に根差して活動し、関係諸機関と顔の見える関係を築けている点は、我々の強みであると言えます。また院内でも作業療法、デイケア、自助グループ活動、集団療法、家族療法、SSTなど、つながりの場の提供に努めています。
そして、最も重要かつ難解な「こころ」に関しては、人生と同様に、数学や化学式のような明確な解答はありませんし、重きを置くところも各人によって異なりますので、できうるかぎり本人の想いに寄り添い、同じ地域で同時代を生きる仲間として、共感、共生の姿勢を大切にして、手を携えて悩みに向きあっていきたいと思っています。
加えて、我々の取り組みは病院内での医療だけにとどまらず、県指定の依存症治療拠点機関として、依存症全般に対する相談、啓発、連携事業を広く展開している他、障害を持つ人や高齢者を中心とする介護・福祉分野、発達障害を持つ子どもの就学や、不登校、いじめ、家庭内暴力、ひきこもり問題などの子育て・教育分野、違法薬物の依存や病的窃盗、性依存、医療観察法などに関連する司法分野、復職支援や労災関連等の産業衛生分野、自殺予防、虐待、禁煙を含む生活習慣病対策といった公衆衛生分野など、多様な場面で、老若男女を問わず、幅広い対象者に対して多くの機関と連携して活動しています。さらに近年は時代の流れとともにネット・ゲーム依存やギャンブル等の問題、LGBTなど性的少数者の悩み、災害時のこころの健康など、これまでになかった新しい課題も次々と現れてきており、それぞれ専門家としての対応を求められています。
こうした「こころの病」はくり返すように、心理的側面、体質的因子、社会・環境要因など多くの事象が複雑に絡みあっており、往々にして一筋縄ではいかず、自らの無力さに打ちのめされることもしばしばですし、時に自分自身が陰性の感情に囚われてしまうこともあります。ただ、英語で「患者」を意味する“patient”という単語は、「苦しみに耐える」というラテン語“patiens”を語源としているように、眼前の人たちが、苦しみのただ中で翻弄され、何とか救いを求めて来られたことを胸にとめ、狭義の疾病に該当するか否かにかかわらず、苦しむ者に分け隔てなく手を差し伸べ、決してあきらめることなく、日夜、研鑽に努め、職員一同協力して、持てる知識、資源を動員して、様々な角度から、より有益な医療を提供し、社会の一隅を照らす灯となれるように、鋭意、取り組み続けることを誓います。
基本理念・基本方針
共に感じ、共に生きる。
- 一人一人の訴えに誠実に耳を傾け、心に響く温かな対話を大切にします。
- 常に自己研鑽とチームワークに心がけ、質の高い信頼される医療を提供します。
- 全ての生命に敬意を払い、笑顔を絶やさず、安心して心身を癒すことのできる環境を育んでいきます。
- 地域連携を深め、社会に貢献し、必要とされる医療機関であるよう努めます。
- 職務を通じて職員が成長を実感し、生きがいや誇りを抱ける職場を創造します。
病院概要
名称 | 医療法人杏野会 各務原病院 |
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所在地 | 岐阜県各務原市東山1-60 |
診療科目 | 精神科・心療内科・内科 |
施設基準等 |
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